「調べ直し」(過去の経緯や必要な情報を、社内で探し直すこと)をしている内容として、「社内規定・ルールや申請方法の確認」を挙げた割合。何人のうちの割合か(母数)は、発表に書かれていない。1か月の調べ直しの時間は平均約4時間(月平均7.5日×1日31.5分としたヌーラボの計算)とされた。
出典: ヌーラボ(発表資料)(新しいタブで開きます)(2026-08-24)
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作成: 中川 健太(作家・中川)公開: /更新:
中小企業の経営者のための 総務・社内ルール・会議の見直しと生成AI
休みの取り方、仕事の手順、書類の置き場所、会議で決まったこと。社長や古くからいる社員の頭の中にしか無いと、その人が休むたびに仕事が止まります。道具より先に、決まりを文書にして、置き場所を決める。そこから、会議の進め方も、紙の減らし方も、生成AIの使い所も決まります。
この資料の結論
AIを入れた後も効率化が難しいと感じる業務として、「社内調整・意思決定など属人的な業務(特定の人にしかできない仕事)」を挙げた企業は33.3%です(中小機構の調査)。愛知県が公表した事例でも、kintone(業務の記録用のアプリを自分たちで作れる、インターネット経由で使うサービス)で紙をタブレットでの入力に替えたことによる、直接の削減時間は無かったとしています(工程03の事例)。まず決まりを文書にし、情報の置き場所を決めます。
会議の時間を「長すぎる」「やや長い」と答えた割合は合わせて54.7%、会議で無駄だと感じることに「結論が出ない」を挙げた割合は53.3%です(どちらも会議室.COM の調査の別の設問・民間調査)。議事録(会議の記録)に代表される会議の内容を、組織全体の資産として一元管理(一か所にまとめて管理)できていると答えた人は12.6%でした(会議のツールを提供する tl;dv の調査・民間調査)。いずれも参考値です。時間を削るだけでなく、決めることを先に知らせ、決まったことを一か所に残します。
「ほぼ全ての業務で、問題なくペーパーレス化が完了している」と答えた割合は、製造業で8.9%、流通業で9.7%と、どちらも1割未満でした。ペーパーレス化は、紙をなくす取り組みのことです。流通業の調査では、取り組みの課題として「取引先が紙でのやり取りを求めており、ペーパーレス化が難しい」が最も多く挙がっています(仕事用のチャット〈短い文章でやりとりする連絡の仕組み〉のサービスを提供する LINE WORKS の調査・民間調査)。押印(はんこを押すこと)が無くても、契約の効力に影響は無いとされています(法令などで特に定めがある場合を除く。国の Q&A)。社内だけで済む申請から、紙と押印を減らします。
症状チェック / 約3分
当てはまる症状が多い工程ほど、見直す余地が大きくなります。当てはまった数が最も多い工程を、最初に見る工程として示します。6つの工程すべてに当てはまった時は、工程01から順に見ることを勧めます。
6つの工程
決まりと仕事のやり方を書き残す。情報の置き場所と連絡手段を決める。会議と申請を軽くする。前の工程で書いた決まりと置き場所が、後の工程の土台になります。
改善の定石
業務改善の定石は、なくす・まとめる・入れ替える・仕組みにする、の順に考えることです(英語の頭文字から ECRS と呼びます)。総務の仕事でも考え方は同じです。工程によって、最初に手を付ける打ち手は変わります。決まりを文書にせず、置き場所も決めないまま道具を入れても、時間が思うほど減らないおそれがあります。
申請の受付や承認の流れのように、決まった手順で繰り返す処理は、設定とシステムの方が確実です。生成AIは、会議の録音から議事録を下書きする、ベテランの説明を手順書にまとめる、といった文章を読み書きする場所で使います。
ITを入れている企業に、業務全体に占める「手作業」(紙・手書き・手入力や、人の判断に頼る作業)の割合を聞き、60%以上と答えた企業の割合です(「80%以上」の20.2%と、「60〜79%」の31.5%を作家・中川が足した数字)。
出典: 中小機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(新しいタブで開きます)(報告書(2026年3月・2025年11〜12月調査・有効回答1,668社、この設問の回答 n=922・p.7))
就業規則・社内の決まり
うちの決まりは、社員はみんな分かっているはずです。
休みの取り方、残業の申請、身だしなみ。社内の決まりが社長の頭の中や口頭の言い伝えにしか無いと、人によって答えが変わります。決まりを文書にして、誰でも読める所に置く工程です。
令和6年の労働基準監督署の定期監督等(事務所や工場などの職場への立ち入りの調べ。働く人からの申告による監督などは別に数える)で、労働基準法89条(就業規則の作成・届出)の違反として年報の表に数えられたものです。
出典: 厚生労働省「令和6年 労働基準監督年報」(新しいタブで開きます)(統計表4「定期監督等実施状況・法違反状況(令和6年)」その2・p.12)
各社・各機関が公開している情報をもとにまとめたもので、作家・中川の支援事例ではありません。
「調べ直し」(過去の経緯や必要な情報を、社内で探し直すこと)をしている内容として、「社内規定・ルールや申請方法の確認」を挙げた割合。何人のうちの割合か(母数)は、発表に書かれていない。1か月の調べ直しの時間は平均約4時間(月平均7.5日×1日31.5分としたヌーラボの計算)とされた。
出典: ヌーラボ(発表資料)(新しいタブで開きます)(2026-08-24)
経営への影響人によって答えが変わり、不公平だという不満が出る。休みや給料などをめぐって社員ともめた時に、会社の決まりを示せない
就業規則の中身(賃金、労働時間、休み)は人が決める。法令に合っているかは、社会保険労務士(働く人の決まりや社会保険の専門家)などに確かめる。法令は改正されることがあるので、取り組む時点の最新の内容で確かめる。
仕事のやり方を、写真と文章で残す
仕事は、先輩の背中を見て覚えるものです。
仕事のやり方が、教える人の頭の中にしか無い。すると新人が覚えるまでに時間がかかり、人によってやり方が変わります。よく行う仕事から順に、手順を書き残す工程です。
各社・各機関が公開している情報をもとにまとめたもので、作家・中川の支援事例ではありません。
Teachme Biz(写真や動画を使った手順書を作り、社内で共有するサービス)を、不適合品(基準に合わない製品)の報告と、再発を防ぐ仕組みに使った。不適合品が月50〜60件から月20〜30件程度に減り、新人が独り立ちするまでの期間は3年から3か月になったとしている。サービスを提供するスタディストの発表。
出典: PR TIMES(スタディストの発表資料)(新しいタブで開きます)(2026-06-23)
経営への影響その人が休む・辞めると、仕事が止まる。やり方のばらつきで、間違いとやり直しが出る
安全に関わる手順と、品質の基準は人が決めて確かめる。AIの下書きは、実際にその仕事をする人が読んで直す。
共有フォルダ・ファイルの名前・探す時間
必要な書類は、担当者に聞けば出てきます。
書類やファイルが、個人のパソコンや机の引き出しに分かれている。すると探す時間がかかり、どれが最新か分かりません。置き場所と名前の付け方を決める工程です。
情報共有のやり方を聞いた設問で、「データ共有サーバなどを活用し、情報を共有」(社内の共有フォルダ〈ファイルを置く共用の場所〉など)と答えた企業の割合です。「メールなどで共有」は27.7%、「社外からでも社内の情報にアクセスし、共有」は26.7%、「会議やメモ、電話、FAXで共有」は5.0%でした。自社のデジタル化の状況を「口頭連絡、電話、帳簿での業務が多い」と答えた企業を除いた回答です。
出典: 東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」(新しいタブで開きます)(2025-01-10公表・2024年10〜11月調査・n=1,218・主に東京23区の中小企業・この設問の回答 n=1,002・p.8)
各社・各機関が公開している情報をもとにまとめたもので、作家・中川の支援事例ではありません。
kintone(業務の記録用のアプリを自分たちで作れる、インターネット経由で使うサービス)を入れ、県の工事1件の実行予算書(工事ごとに、かかる費用の見込みをまとめた書類)を作る時間が8時間から4時間に減った。会社全体の残業時間は、前年より1,500時間減ったとしている。
出典: マイナビニュース(新しいタブで開きます)(2025-07-07)
kintone で、試験の進み具合を事務所から見られるようにし、別の建物の試験室まで確かめに行く移動の時間(1人あたり月4時間)を減らした。一方、紙をタブレットでの入力に替えたことによる直接の削減時間は無かったとしている(検索が簡単になり、紙の保管が要らなくなった)。愛知県の2024年度の実証事業(県の事業として試した取り組み)。
出典: 愛知県(公表資料)「2024年度 デジタル技術導入モデル実証事業」の実証成果(新しいタブで開きます)(2025-04-01)
kintone で、設備の点検表や有給休暇の申請などをアプリにした(23のアプリ・全部門)。目標は「ムダ時間の削減 年間2,000時間」。実証の活動期間内の削減効果は、約164時間だったとしている。目標は1年間、実績は活動期間内の数字なので、そのままは比べられない。愛知県の2023年度の実証事業。
出典: 愛知県(公表資料)「2023年度 デジタル技術導入モデル実証事業」の実証成果(新しいタブで開きます)(2025-04-01)
経営への影響探す時間と、古い書類を使った間違いが出る。担当者が休むと、仕事が止まる
どの版を正しいものとするか、何を消すかは人が決める。社員や取引先の個人情報を含むファイルをAIに入れるのは、使ってよいサービスを決めてから。
電話・メール・仕事用のチャット
大事なことは、電話で直接伝えた方が早いです。
社内の連絡が電話と口頭に頼っていると、言った・言わないが起き、記録も残りません。社内の連絡を、記録が残る手段にまとめる工程です。
各社・各機関が公開している情報をもとにまとめたもので、作家・中川の支援事例ではありません。
LINE WORKS(仕事用のチャット、つまり短い文章でやりとりする連絡のサービス)を入れ、材料の発注を電話から、写真を使ったグループでのやりとりに替えた。誤発注(発注の間違い)の数が半分に減ったとしている。
出典: LINE WORKS 導入事例(新しいタブで開きます)(2024-05-17)
LINE WORKS を入れ、社員の間の連絡にかかる時間が「体感ベースでは」8〜9割短くなったとしている。会社の体感による数字で、測った数字ではない。
出典: LINE WORKS 導入事例(新しいタブで開きます)(2023-03-15)
経営への影響伝え間違いで、やり直しと損が出る。辞めた社員の私用のスマホに、仕事の記録が残る
誰に何を指示するか、急ぎの判断は人が行う。社員や取引先の個人情報を含むやりとりをAIに入れるのは、使ってよいサービスを決めてから。
決めること・記録・時間
毎週集まって話しているので、情報は共有できています。
会議の時間を長いと感じる人は多い。また、会議で無駄だと感じることを聞くと、「結論が出ない」が53.3%でした(民間調査)。時間を削るだけでなく、何を決めるかと、決まったことの記録を整える工程です。
会議で無駄だと感じることを聞いた設問(複数回答)で、「結論が出ない」と答えた割合です。「目的が不明確」は43.0%でした。別の設問で、参加している会議の時間を「長すぎる」「やや長い」と答えた割合は、合わせて54.7%です。
出典: 会議室.COM の調査(新しいタブで開きます)(2026-04-21公表・2026年4月調査・普段月に数回以上会議に参加しているビジネスパーソン n=300・民間調査)
各社・各機関が公開している情報をもとにまとめたもので、作家・中川の支援事例ではありません。
議事録に代表される会議の内容を、組織全体の資産として一元管理(一か所にまとめて管理)できていると答えた人の割合。何人のうちの割合か(母数)は、発表に書かれていない。会議のツールを提供する会社の調査。
出典: PR TIMES(tldx Solutions の発表資料)(新しいタブで開きます)(2025-12-11)
AIを入れている企業に、入れたAIの種類を聞いた設問で、「音声認識・音声対話AI(議事録作成、自動応答)」(声を文字にしたり、声で応答したりするAI)を挙げた割合。
出典: 中小機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」報告書(新しいタブで開きます)(2026年3月)
経営への影響同じ話を何度も繰り返し、決定が遅れる。出席した人数分の時間が、まとめて失われる
何を決めるかと、決定そのものは人が行う。録音する時は、出席者に伝えてから。議事録は、出席者が読んで直してから残す。
休暇届・備品の申請・押印
紙とはんこが無いと、きちんと承認した気がしません。
紙と押印をすべてなくすのは、取引先の都合もあり簡単ではありません。ゼロを目指さず、残す紙を選ぶ。まず社内だけで済む申請から、紙と押印を減らす工程です。請求書や経費の精算は、第1弾「お金の流れ(バックオフィス)」で扱います。
製造業で、「ほぼ全ての業務で、問題なくペーパーレス化が完了している」と答えた割合です。ペーパーレス化は、紙をなくす取り組みのことです。使っている紙の書類では、請求書・納品書・見積書など、取引に関わる書類が最も多く挙がっています。
出典: LINE WORKS の調査(新しいタブで開きます)(従業員1,000人未満の製造業で働く社員 n=225・2026年3月調査・2026-06-01公表・民間調査)
各社・各機関が公開している情報をもとにまとめたもので、作家・中川の支援事例ではありません。
流通業(小売業・卸売業・物流業)で、「ほぼ全ての業務で、問題なくペーパーレス化が完了している」と答えた割合。製造業の8.9%とあわせ、どちらも1割未満だった。取り組みの課題では「取引先が紙でのやり取りを求めており、ペーパーレス化が難しい」が最も多かった。
出典: LINE WORKS(発表資料)(新しいタブで開きます)(2026-07-09)
経営への影響承認待ちで、仕事が止まる。紙の保管と、探す手間がかかり続ける
どの書類のはんこをやめるか、承認の決まりは人が決める。法令で書面や押印が求められる書類かどうかは、専門家に確かめる。
全体像
6つの工程の「いま」と「改善後」、そして効果を確かめる指標を一覧にします。
手順書も議事録も、置き場所が決まっていないと散らばります。見直しは、決まりを文書にする工程から順に進めます。生成AIのルールは、並行して始めて構いません。
社長や特定の人がいなくても、答えが分かる。新人が早く覚える。
探す時間と、伝え間違いが減る。
決まったことが残り、承認待ちで仕事が止まらなくなる。
効果の測り方
経営層に報告するのは一番上の層です。「入れた道具の数」や「AIの利用回数」は活動の量であって、成果ではありません。工程03の鈴秀工業の事例のように、目標は1年間、実績は活動期間内の数字だと、そのままは比べられません。目標と実績は同じ期間で数えます。着手前に数えておけば、届かなかった時に原因を探せます。
デジタル化を進めて得られた効果(複数回答)として、「標準化(脱・属人化)」(特定の人にしかできない仕事を減らすこと)を挙げた企業の割合です。自社のデジタル化の状況を「口頭連絡、電話、帳簿での業務が多い」と答えた企業を除いた回答です。効果があったかは、着手前と後の数字で確かめます。
出典: 東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」(新しいタブで開きます)(2025-01-10公表・2024年10〜11月調査・n=1,218・主に東京23区の中小企業・この設問の回答 n=1,002・p.9)
進め方
期間は、社員数十人の会社を想定した目安です。最初の1か月で、口頭の決まりを書き出し、ファイルの置き場所を決めるところまで進めます。
生成AIのルールづくりは、他の段階を待たずに始めて構いません。社員や取引先の情報が、個人の判断でAIに入れられている状態を早く終わらせる方が安全です。
経営判断
総務の見直しは、担当者の努力だけでは先に進めなくなる所があります。次の5つは、担当者の権限では決められません。