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作成: 中川 健太(作家・中川)公開: /更新:

中小企業の経営者のための 総務・社内ルール・会議の見直しと生成AI

その決まり、社長の頭の中だけにありませんか。

休みの取り方、仕事の手順、書類の置き場所、会議で決まったこと。社長や古くからいる社員の頭の中にしか無いと、その人が休むたびに仕事が止まります。道具より先に、決まりを文書にして、置き場所を決める。そこから、会議の進め方も、紙の減らし方も、生成AIの使い所も決まります。

特定の人や口頭に頼る仕事は、まだ残っている(2つの調査)
AIを入れた後も効率化が難しいと感じる業務に「社内調整・意思決定など属人的な業務」を挙げた企業33.3%
「口頭連絡、電話、帳簿での業務が多い」と答えた企業17.7%
33.3%は中小機構の調査です。「属人的な業務」は、特定の人にしかできない仕事のことです。AIをまだ入れていない企業も答えています。17.7%は東京商工会議所の調査(2025-01-10公表・2024年10〜11月調査・n=1,218・主に東京23区の中小企業・p.5)で、自社のデジタル化の状況を聞いた設問です。小売業では31.3%でした(p.6)。対象も聞き方も違う2つの調査で、比べるための数字ではありません。出典: 中小機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」報告書(新しいタブで開きます)(2026年3月・2025年11〜12月調査・有効回答1,668社、この設問の回答 n=1,539・複数回答・p.20)

この資料の結論

見直しの要点は、3つです。

道具より先に、決まりと置き場所

AIを入れた後も効率化が難しいと感じる業務として、「社内調整・意思決定など属人的な業務(特定の人にしかできない仕事)」を挙げた企業は33.3%です(中小機構の調査)。愛知県が公表した事例でも、kintone(業務の記録用のアプリを自分たちで作れる、インターネット経由で使うサービス)で紙をタブレットでの入力に替えたことによる、直接の削減時間は無かったとしています(工程03の事例)。まず決まりを文書にし、情報の置き場所を決めます。

会議は、長さだけでなく「決まらない」「残らない」

会議の時間を「長すぎる」「やや長い」と答えた割合は合わせて54.7%、会議で無駄だと感じることに「結論が出ない」を挙げた割合は53.3%です(どちらも会議室.COM の調査の別の設問・民間調査)。議事録(会議の記録)に代表される会議の内容を、組織全体の資産として一元管理(一か所にまとめて管理)できていると答えた人は12.6%でした(会議のツールを提供する tl;dv の調査・民間調査)。いずれも参考値です。時間を削るだけでなく、決めることを先に知らせ、決まったことを一か所に残します。

紙はゼロを目指さず、残す紙を選ぶ

「ほぼ全ての業務で、問題なくペーパーレス化が完了している」と答えた割合は、製造業で8.9%、流通業で9.7%と、どちらも1割未満でした。ペーパーレス化は、紙をなくす取り組みのことです。流通業の調査では、取り組みの課題として「取引先が紙でのやり取りを求めており、ペーパーレス化が難しい」が最も多く挙がっています(仕事用のチャット〈短い文章でやりとりする連絡の仕組み〉のサービスを提供する LINE WORKS の調査・民間調査)。押印(はんこを押すこと)が無くても、契約の効力に影響は無いとされています(法令などで特に定めがある場合を除く。国の Q&A)。社内だけで済む申請から、紙と押印を減らします。

症状チェック / 約3分

自社に当てはまるものを、選んでください。

当てはまる症状が多い工程ほど、見直す余地が大きくなります。当てはまった数が最も多い工程を、最初に見る工程として示します。6つの工程すべてに当てはまった時は、工程01から順に見ることを勧めます。

6つの工程

総務・社内ルール・会議を、6つの工程で見る。

決まりと仕事のやり方を書き残す。情報の置き場所と連絡手段を決める。会議と申請を軽くする。前の工程で書いた決まりと置き場所が、後の工程の土台になります。

決めて、軽くする会議で決まったことを残し、紙と押印を減らす
  1. 05会議決めること・記録・時間
  2. 06紙と押印・社内の申請休暇届・備品の申請・押印

改善の定石

まず「なくす」「まとめる」。AIは最後。

業務改善の定石は、なくす・まとめる・入れ替える・仕組みにする、の順に考えることです(英語の頭文字から ECRS と呼びます)。総務の仕事でも考え方は同じです。工程によって、最初に手を付ける打ち手は変わります。決まりを文書にせず、置き場所も決めないまま道具を入れても、時間が思うほど減らないおそれがあります。

  1. ELIMINATEなくす目的の無い会議、要らない押印、古い版のファイルは、本当に要るか。
  2. COMBINEまとめる決まり・手順書・ファイル・議事録を、1つの場所に。
  3. REARRANGE入れ替える口頭の言い伝えを、文書へ。私用の連絡アプリを、仕事用のチャットへ。社内の紙の申請を、入力へ。
  4. SIMPLIFY仕組みにするファイルの名前の付け方、会議の進め方、申請の流れを、決まりと設定で。
  5. + GENERATIVE AI生成AI残った「人が文章を読み、書く」部分を支える。

何でもAIに任せない。AIが向くのは真ん中だけ。

申請の受付や承認の流れのように、決まった手順で繰り返す処理は、設定とシステムの方が確実です。生成AIは、会議の録音から議事録を下書きする、ベテランの説明を手順書にまとめる、といった文章を読み書きする場所で使います。

51.7%

ITを入れている企業に、業務全体に占める「手作業」(紙・手書き・手入力や、人の判断に頼る作業)の割合を聞き、60%以上と答えた企業の割合です(「80%以上」の20.2%と、「60〜79%」の31.5%を作家・中川が足した数字)。

出典: 中小機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(新しいタブで開きます)(報告書(2026年3月・2025年11〜12月調査・有効回答1,668社、この設問の回答 n=922・p.7))

決まった手順で繰り返すシステム
  • 社内の申請の受付と承認の流れ
  • 共有フォルダとファイルの検索
  • 全員へのお知らせの配信
  • 議事録の置き場所
文章を読み、案を作る生成AI
  • 会議の録音からの議事録の下書き
  • ベテランの説明からの手順書の下書き
  • 社内の決まりの文書の下書き
  • 長いやりとりの要約
責任を伴う人
  • 就業規則の中身の判断
  • 会議での決定
  • はんこをやめる書類の判断
  • AIが作った文章の確認と差し戻し
工程 01 / 06

社内ルールを文書にする

就業規則・社内の決まり

うちの決まりは、社員はみんな分かっているはずです。

休みの取り方、残業の申請、身だしなみ。社内の決まりが社長の頭の中や口頭の言い伝えにしか無いと、人によって答えが変わります。決まりを文書にして、誰でも読める所に置く工程です。

10,457件

令和6年の労働基準監督署の定期監督等(事務所や工場などの職場への立ち入りの調べ。働く人からの申告による監督などは別に数える)で、労働基準法89条(就業規則の作成・届出)の違反として年報の表に数えられたものです。

出典: 厚生労働省「令和6年 労働基準監督年報」(新しいタブで開きます)(統計表4「定期監督等実施状況・法違反状況(令和6年)」その2・p.12)

各社・各機関が公開している情報をもとにまとめたもので、作家・中川の支援事例ではありません。

34.8%
ヌーラボの調査(2026年7月・20〜59歳のビジネスパーソン1,000名〈管理職500名・一般社員500名〉・民間調査)
調査

「調べ直し」(過去の経緯や必要な情報を、社内で探し直すこと)をしている内容として、「社内規定・ルールや申請方法の確認」を挙げた割合。何人のうちの割合か(母数)は、発表に書かれていない。1か月の調べ直しの時間は平均約4時間(月平均7.5日×1日31.5分としたヌーラボの計算)とされた。

出典: ヌーラボ(発表資料)(新しいタブで開きます)(2026-08-24)

起きていること

  • 就業規則が無い、または何年も前に作ったまま直していない
  • 休みの取り方や残業の申請など、細かい決まりが口頭でしか伝わっていない
  • 同じ決まりについての質問に、社長や古くからいる社員が何度も答えている
  • 決まりを書いた紙やファイルが、どこにあるか分からない

経営への影響人によって答えが変わり、不公平だという不満が出る。休みや給料などをめぐって社員ともめた時に、会社の決まりを示せない

定石の打ち手

  • なくす口頭でしか伝わっていない決まりをなくし、文書にする
  • まとめる就業規則と細かい決まりを1つの場所にまとめ、社員がいつでも読めるようにする
  • 入れ替える一から書かず、厚生労働省のモデル就業規則(就業規則のひな形。令和7年12月版)をもとに、自社に合わせて直す
  • 仕組みにする常時(いつも)10人以上の労働者を使う職場(事務所や工場ごとに、パートやアルバイトも含めて数える)は、就業規則を作り、労働基準監督署長に届け出る義務がある(労働基準法89条)。届け出る前に、労働者の過半数を代表する人(労働者の過半数で作る労働組合があれば、その組合)の意見を聴き、意見書を付ける(90条)。変えた時も、同じように届け出る。見直す時期を、年に1回と決める

生成AIを入れる場所

  • 口頭で伝えている決まりを書き出したメモから、社内の決まりの文書の下書きを作る
  • モデル就業規則と自社の今の就業規則を比べ、違う所を並べる
  • 社員からよく来る質問を集め、決まりの文書をもとに答えの案を作る

就業規則の中身(賃金、労働時間、休み)は人が決める。法令に合っているかは、社会保険労務士(働く人の決まりや社会保険の専門家)などに確かめる。法令は改正されることがあるので、取り組む時点の最新の内容で確かめる。

効果を測る指標
  • リスク文書になっていない決まりの数
  • リスク就業規則を最後に見直した日
  • コスト決まりについての質問に答える時間
  • 判断の質決まりの文書を読んだ社員の割合
工程 02 / 06

手順書・マニュアル

仕事のやり方を、写真と文章で残す

仕事は、先輩の背中を見て覚えるものです。

仕事のやり方が、教える人の頭の中にしか無い。すると新人が覚えるまでに時間がかかり、人によってやり方が変わります。よく行う仕事から順に、手順を書き残す工程です。

各社・各機関が公開している情報をもとにまとめたもので、作家・中川の支援事例ではありません。

50〜60→20〜30件/月
インパムシール(シール・ラベルの製造、岡山県岡山市)
実績

Teachme Biz(写真や動画を使った手順書を作り、社内で共有するサービス)を、不適合品(基準に合わない製品)の報告と、再発を防ぐ仕組みに使った。不適合品が月50〜60件から月20〜30件程度に減り、新人が独り立ちするまでの期間は3年から3か月になったとしている。サービスを提供するスタディストの発表。

出典: PR TIMES(スタディストの発表資料)(新しいタブで開きます)(2026-06-23)

起きていること

  • 特定の人しかやり方を知らない仕事がある
  • 新人に教えるたびに、教える人の手が止まる
  • 同じ仕事でも、人によってやり方が違う
  • 手順書はあるが、古いまま直されていない

経営への影響その人が休む・辞めると、仕事が止まる。やり方のばらつきで、間違いとやり直しが出る

定石の打ち手

  • なくす手順書を作る前に、要らない手順を省く
  • まとめるよく行う仕事から順に、1つの仕事を1枚の手順書にする
  • 入れ替える長い文章ではなく、写真や動画で手順を見せる
  • 仕組みにする手順を変えたら、その日のうちに手順書も直す。直す人を決める

生成AIを入れる場所

  • ベテランの説明を録音して文字にしたものから、手順書の下書きを作る
  • 長い手順書を、要点だけの短い版に整える
  • 手順書をもとに、新人が覚えたかを確かめる問いを作る

安全に関わる手順と、品質の基準は人が決めて確かめる。AIの下書きは、実際にその仕事をする人が読んで直す。

効果を測る指標
  • スピード新人が一人で仕事ができるまでの期間
  • リスク手順書が無い仕事の数
  • 判断の質やり方のばらつきによる間違いの件数
  • コスト教えるのにかかる時間
工程 03 / 06

情報とファイルの置き場所

共有フォルダ・ファイルの名前・探す時間

必要な書類は、担当者に聞けば出てきます。

書類やファイルが、個人のパソコンや机の引き出しに分かれている。すると探す時間がかかり、どれが最新か分かりません。置き場所と名前の付け方を決める工程です。

38.5%

情報共有のやり方を聞いた設問で、「データ共有サーバなどを活用し、情報を共有」(社内の共有フォルダ〈ファイルを置く共用の場所〉など)と答えた企業の割合です。「メールなどで共有」は27.7%、「社外からでも社内の情報にアクセスし、共有」は26.7%、「会議やメモ、電話、FAXで共有」は5.0%でした。自社のデジタル化の状況を「口頭連絡、電話、帳簿での業務が多い」と答えた企業を除いた回答です。

出典: 東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」(新しいタブで開きます)(2025-01-10公表・2024年10〜11月調査・n=1,218・主に東京23区の中小企業・この設問の回答 n=1,002・p.8)

各社・各機関が公開している情報をもとにまとめたもので、作家・中川の支援事例ではありません。

8→4時間/件
瀧神巧業(建設、秋田県仙北市、社員56人・2025年4月時点)
実績

kintone(業務の記録用のアプリを自分たちで作れる、インターネット経由で使うサービス)を入れ、県の工事1件の実行予算書(工事ごとに、かかる費用の見込みをまとめた書類)を作る時間が8時間から4時間に減った。会社全体の残業時間は、前年より1,500時間減ったとしている。

出典: マイナビニュース(新しいタブで開きます)(2025-07-07)

4時間/月・1人
岡崎土質試験所(土質・地質調査、愛知県岡崎市、従業員15人)
実績

kintone で、試験の進み具合を事務所から見られるようにし、別の建物の試験室まで確かめに行く移動の時間(1人あたり月4時間)を減らした。一方、紙をタブレットでの入力に替えたことによる直接の削減時間は無かったとしている(検索が簡単になり、紙の保管が要らなくなった)。愛知県の2024年度の実証事業(県の事業として試した取り組み)。

出典: 愛知県(公表資料)「2024年度 デジタル技術導入モデル実証事業」の実証成果(新しいタブで開きます)(2025-04-01)

約164時間
鈴秀工業(磨棒鋼〈表面を磨いた棒状の鋼材〉などの製造、名古屋市、従業員380人)
実績

kintone で、設備の点検表や有給休暇の申請などをアプリにした(23のアプリ・全部門)。目標は「ムダ時間の削減 年間2,000時間」。実証の活動期間内の削減効果は、約164時間だったとしている。目標は1年間、実績は活動期間内の数字なので、そのままは比べられない。愛知県の2023年度の実証事業。

出典: 愛知県(公表資料)「2023年度 デジタル技術導入モデル実証事業」の実証成果(新しいタブで開きます)(2025-04-01)

起きていること

  • ファイルが個人のパソコンに保存され、本人しか場所を知らない
  • 同じ書類が何部もあり、どれが最新か分からない
  • ファイルの名前の付け方が人によって違い、探しても見つからない
  • 現場で書いた記録を、会社に戻ってから入力し直している

経営への影響探す時間と、古い書類を使った間違いが出る。担当者が休むと、仕事が止まる

定石の打ち手

  • まとめる社内の共有フォルダを1つに決める
  • 仕組みにするフォルダの分け方と、ファイルの名前の付け方(日付・取引先・書類の種類など)を決めて、1枚に書く
  • なくす個人のパソコンにしか無いファイルと、古い版をなくす
  • 入れ替える現場の記録は、紙に書いて後で入力するのではなく、その場でスマホやタブレットから入れる

生成AIを入れる場所

  • ファイルの一覧を読み、重なっているものや古い版の候補を洗い出す
  • ばらばらのファイルの名前を、決めた付け方にそろえる案を作る
  • 社内の文書から、質問の答えが書いてある所を探す(どの文書のどこかを示させる)

どの版を正しいものとするか、何を消すかは人が決める。社員や取引先の個人情報を含むファイルをAIに入れるのは、使ってよいサービスを決めてから。

効果を測る指標
  • コスト書類を探す時間
  • リスク個人のパソコンにしか無いファイルの数
  • 判断の質古い版を使った間違いの件数
  • スピード現場の記録が会社に届くまでの時間
工程 04 / 06

社内の連絡手段

電話・メール・仕事用のチャット

大事なことは、電話で直接伝えた方が早いです。

社内の連絡が電話と口頭に頼っていると、言った・言わないが起き、記録も残りません。社内の連絡を、記録が残る手段にまとめる工程です。

各社・各機関が公開している情報をもとにまとめたもので、作家・中川の支援事例ではありません。

半減
第一建工(電気設備の工事)
実績

LINE WORKS(仕事用のチャット、つまり短い文章でやりとりする連絡のサービス)を入れ、材料の発注を電話から、写真を使ったグループでのやりとりに替えた。誤発注(発注の間違い)の数が半分に減ったとしている。

出典: LINE WORKS 導入事例(新しいタブで開きます)(2024-05-17)

80〜90%短縮
宮下工業(建設、群馬県前橋市)
実績

LINE WORKS を入れ、社員の間の連絡にかかる時間が「体感ベースでは」8〜9割短くなったとしている。会社の体感による数字で、測った数字ではない。

出典: LINE WORKS 導入事例(新しいタブで開きます)(2023-03-15)

起きていること

  • 社内の連絡が電話と口頭で、記録が残らない
  • 社員が私用の連絡アプリ(LINE など)で、仕事の連絡をしている
  • 全員への連絡を、一人ずつ電話や紙で伝えている
  • 現場と事務所の間で、伝え間違いや発注の間違いが起きている

経営への影響伝え間違いで、やり直しと損が出る。辞めた社員の私用のスマホに、仕事の記録が残る

定石の打ち手

  • まとめる社内の連絡手段を、会社が管理できるもの1つに決める
  • 入れ替える私用の連絡アプリから、仕事用のチャットに切り替える
  • 仕組みにする急ぎは電話、記録に残すものはチャット、と使い分けを決める
  • なくす全員に知らせるための電話のかけ回しと、回覧の紙をなくす

生成AIを入れる場所

  • 長いやりとりを読み、決まったこととやることを要約する
  • 全員へのお知らせの文面を下書きする
  • 現場からの報告のメモを、決まった形の報告に整える

誰に何を指示するか、急ぎの判断は人が行う。社員や取引先の個人情報を含むやりとりをAIに入れるのは、使ってよいサービスを決めてから。

効果を測る指標
  • リスク伝え間違いによるやり直しや誤発注の件数
  • スピード全員に連絡が届くまでの時間
  • リスク私用のアプリで仕事の連絡をしている人の数
  • コスト連絡のための電話にかかる時間
工程 05 / 06

会議

決めること・記録・時間

毎週集まって話しているので、情報は共有できています。

会議の時間を長いと感じる人は多い。また、会議で無駄だと感じることを聞くと、「結論が出ない」が53.3%でした(民間調査)。時間を削るだけでなく、何を決めるかと、決まったことの記録を整える工程です。

53.3%

会議で無駄だと感じることを聞いた設問(複数回答)で、「結論が出ない」と答えた割合です。「目的が不明確」は43.0%でした。別の設問で、参加している会議の時間を「長すぎる」「やや長い」と答えた割合は、合わせて54.7%です。

出典: 会議室.COM の調査(新しいタブで開きます)(2026-04-21公表・2026年4月調査・普段月に数回以上会議に参加しているビジネスパーソン n=300・民間調査)

各社・各機関が公開している情報をもとにまとめたもので、作家・中川の支援事例ではありません。

12.6%
tl;dv の調査(2025年10月・全国の20〜69歳1,000名・民間調査)
調査

議事録に代表される会議の内容を、組織全体の資産として一元管理(一か所にまとめて管理)できていると答えた人の割合。何人のうちの割合か(母数)は、発表に書かれていない。会議のツールを提供する会社の調査。

出典: PR TIMES(tldx Solutions の発表資料)(新しいタブで開きます)(2025-12-11)

29.8%
中小機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」報告書(2026年3月・2025年11〜12月調査・有効回答1,668社、この設問の回答 n=322・複数回答・p.11)
調査

AIを入れている企業に、入れたAIの種類を聞いた設問で、「音声認識・音声対話AI(議事録作成、自動応答)」(声を文字にしたり、声で応答したりするAI)を挙げた割合。

出典: 中小機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」報告書(新しいタブで開きます)(2026年3月)

起きていること

  • 会議の目的と決めることが、前もって分からない
  • 話し合っても結論が出ず、次の会議に持ち越す
  • 議事録(会議の記録)が無い、または人によって置き場所が違う
  • 決まったことに担当と期限が付かず、実行されない

経営への影響同じ話を何度も繰り返し、決定が遅れる。出席した人数分の時間が、まとめて失われる

定石の打ち手

  • なくす目的と決めることが無い会議をやめる
  • 仕組みにする会議の前に、目的と決めることを1行で知らせる。終わる前に、決まったこと・担当・期限を読み上げる
  • まとめる議事録の置き場所を1つに決め、決まったことの一覧を残す
  • 入れ替える報告を聞くだけの時間は、前もって配る文書やチャットでの報告に替える

生成AIを入れる場所

  • 会議の録音から、議事録の下書きを作る(声を文字にするAIを使う)
  • 議事録から、決まったこと・担当・期限を抜き出して一覧にする
  • 前回の議事録を読み、持ち越した議題を並べる

何を決めるかと、決定そのものは人が行う。録音する時は、出席者に伝えてから。議事録は、出席者が読んで直してから残す。

効果を測る指標
  • 判断の質結論が出ずに持ち越した議題の数
  • スピード議事録が共有されるまでの時間
  • コスト会議の時間×出席人数
  • 判断の質期限までに実行された決定の割合
工程 06 / 06

紙と押印・社内の申請

休暇届・備品の申請・押印

紙とはんこが無いと、きちんと承認した気がしません。

紙と押印をすべてなくすのは、取引先の都合もあり簡単ではありません。ゼロを目指さず、残す紙を選ぶ。まず社内だけで済む申請から、紙と押印を減らす工程です。請求書や経費の精算は、第1弾「お金の流れ(バックオフィス)」で扱います。

8.9%

製造業で、「ほぼ全ての業務で、問題なくペーパーレス化が完了している」と答えた割合です。ペーパーレス化は、紙をなくす取り組みのことです。使っている紙の書類では、請求書・納品書・見積書など、取引に関わる書類が最も多く挙がっています。

出典: LINE WORKS の調査(新しいタブで開きます)(従業員1,000人未満の製造業で働く社員 n=225・2026年3月調査・2026-06-01公表・民間調査)

各社・各機関が公開している情報をもとにまとめたもので、作家・中川の支援事例ではありません。

9.7%
LINE WORKS の調査(従業員1,000人未満の流通業で働く社員 n=740・2026年3月調査・民間調査)
調査

流通業(小売業・卸売業・物流業)で、「ほぼ全ての業務で、問題なくペーパーレス化が完了している」と答えた割合。製造業の8.9%とあわせ、どちらも1割未満だった。取り組みの課題では「取引先が紙でのやり取りを求めており、ペーパーレス化が難しい」が最も多かった。

出典: LINE WORKS(発表資料)(新しいタブで開きます)(2026-07-09)

起きていること

  • 休暇届や備品の申請を、紙に書いてはんこを回している
  • 承認する人が不在だと、申請が止まる
  • 取引先が紙を求めるので、紙はなくせないと思い込んでいる
  • どの書類にはんこが本当に要るのか、確かめたことがない

経営への影響承認待ちで、仕事が止まる。紙の保管と、探す手間がかかり続ける

定石の打ち手

  • なくすはんこが本当に要る書類を洗い出し、要らない押印をやめる。押印が無くても、契約の効力に影響は無いとされている(法令などで特に定めがある場合を除く。内閣府・法務省・経済産業省の Q&A)
  • 入れ替える社内だけで済む申請(休暇届・備品の申請など)から、紙をスマホやパソコンでの入力に替える
  • まとめる申請の様式を減らし、1つの入力の画面にまとめる
  • 仕組みにする取引先とやりとりする紙は、無理になくさず「残す紙」と決める。受け取った紙の置き場所も決める

生成AIを入れる場所

  • 今ある紙の申請書を読み、入力の画面に置き換える時の項目の案を作る
  • 社内の書類の一覧から、押印が要りそうな書類と要らなそうな書類の候補を分ける(最後は人が確かめる)
  • 申請の手順を、社員向けの短い説明文に整える

どの書類のはんこをやめるか、承認の決まりは人が決める。法令で書面や押印が求められる書類かどうかは、専門家に確かめる。

効果を測る指標
  • スピード申請から承認までの日数
  • コスト紙の申請書の枚数
  • リスク承認する人の不在で止まった申請の件数
  • 判断の質押印をやめた書類の数

全体像

最初から最後まで、何が変わるか。

6つの工程の「いま」と「改善後」、そして効果を確かめる指標を一覧にします。

  1. 01社内ルールを文書にする
    いま決まりが社長の頭の中と口頭の言い伝えにある
    改善後決まりを文書にし、1つの場所に。AIが下書きを作る
    効果を測る指標文書になっていない決まりの数/決まりについての質問に答える時間
  2. 02手順書・マニュアル
    いま仕事のやり方を、特定の人しか知らない
    改善後よく行う仕事から写真つきの手順書に。AIが説明から下書き
    効果を測る指標新人が一人で仕事ができるまでの期間/手順書が無い仕事の数
  3. 03情報とファイルの置き場所
    いまファイルが個人のパソコンにあり、どれが最新か分からない
    改善後共有フォルダを1つに。名前の付け方を決める
    効果を測る指標書類を探す時間/個人のパソコンにしか無いファイルの数
  4. 04社内の連絡手段
    いま連絡が電話と口頭、私用の連絡アプリ
    改善後連絡を仕事用のチャット1つにまとめる。AIがやりとりを要約
    効果を測る指標伝え間違いによるやり直しや誤発注の件数/全員に連絡が届くまでの時間
  5. 05会議
    いま結論が出ず持ち越し。議事録が残らない
    改善後決めることを先に知らせ、議事録を一か所に。AIが下書き
    効果を測る指標結論が出ずに持ち越した議題の数/議事録が共有されるまでの時間
  6. 06紙と押印・社内の申請
    いま社内の申請も紙とはんこ。承認する人の不在で止まる
    改善後社内の申請から入力へ。取引先との紙は「残す紙」に
    効果を測る指標申請から承認までの日数/紙の申請書の枚数

効果は、連鎖して現れる。

手順書も議事録も、置き場所が決まっていないと散らばります。見直しは、決まりを文書にする工程から順に進めます。生成AIのルールは、並行して始めて構いません。

  1. 工程01・02で、決まりと仕事のやり方を書き残す

    社長や特定の人がいなくても、答えが分かる。新人が早く覚える。

  2. 工程03・04で、置き場所と連絡手段を1つにする

    探す時間と、伝え間違いが減る。

  3. 工程05・06で、会議と申請を軽くする

    決まったことが残り、承認待ちで仕事が止まらなくなる。

効果の測り方

指標は、3層に分けて測る。

経営層に報告するのは一番上の層です。「入れた道具の数」や「AIの利用回数」は活動の量であって、成果ではありません。工程03の鈴秀工業の事例のように、目標は1年間、実績は活動期間内の数字だと、そのままは比べられません。目標と実績は同じ期間で数えます。着手前に数えておけば、届かなかった時に原因を探せます。

32.5%

デジタル化を進めて得られた効果(複数回答)として、「標準化(脱・属人化)」(特定の人にしかできない仕事を減らすこと)を挙げた企業の割合です。自社のデジタル化の状況を「口頭連絡、電話、帳簿での業務が多い」と答えた企業を除いた回答です。効果があったかは、着手前と後の数字で確かめます。

出典: 東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」(新しいタブで開きます)(2025-01-10公表・2024年10〜11月調査・n=1,218・主に東京23区の中小企業・この設問の回答 n=1,002・p.9)

経営成果 ── 経営層に報告
  • 新人が一人で仕事ができるまでの期間
  • 会議の時間×出席人数
  • 伝え間違いによるやり直しや誤発注の件数
  • 申請から承認までの日数
業務指標 ── 担当が管理
  • 書類を探す時間
  • 結論が出ずに持ち越した議題の数
  • 決まりについての質問に答える時間
  • 紙の申請書の枚数
活動指標 ── 担当が管理
  • 文書になっていない決まりの数
  • 手順書が無い仕事の数
  • 生成AIのルールを読んだ社員の割合
  • AIの下書きをそのまま使えた割合
着手前に、数える文書になっていない決まりの数、手順書が無い仕事の数、1週間の会議の時間と出席人数、紙の申請書の枚数。数えた時点が、後で比べる基準になります。
探す時間は、1週間記録をつける書類やファイルを探した回数と時間を書きます。どこに手間がかかっているかが見えます。
目標と実績を、並べて示す減らす時間の目標を決め、同じ期間の実績と並べます。届かなければ、入力の手間など、減らなかった所を確かめます。
AIは、そのまま使えた割合と直す時間で評価する議事録や手順書の下書きをそのまま使えた割合と、直すのにかかった時間を測ります。手で作るより遅いなら、使い方を見直します。

進め方

4つの段階で進める。

期間は、社員数十人の会社を想定した目安です。最初の1か月で、口頭の決まりを書き出し、ファイルの置き場所を決めるところまで進めます。

  1. 0〜1か月書き出す
    • 口頭で伝えている決まりを書き出す
    • 特定の人しか知らない仕事を数える
    • ファイルの置き場所と名前の付け方を決める
  2. 1〜3か月決まりと手順書
    • 就業規則をモデル就業規則と比べて見直す
    • よく行う仕事から手順書を作る
    • 社内の連絡手段を1つに決める
  3. 2〜6か月会議と申請
    • 会議の前に決めることを知らせ、議事録を一か所に残す
    • 社内の申請を紙から入力に替える
    • はんこが要る書類を洗い出す
  4. 最初の月から生成AIのルールを1枚に
    • 使ってよいサービスを決める
    • 入れてよい情報を決める
    • 議事録と手順書の下書きから使い始める

生成AIのルールづくりは、他の段階を待たずに始めて構いません。社員や取引先の情報が、個人の判断でAIに入れられている状態を早く終わらせる方が安全です。

生成AIを仕事に入れる時の決まりごと

最終判断は人が行う就業規則、会議の決定、手順書の中身に関わるものは、AIが作った後に必ず人が確かめてから使います。
根拠を示させるどの文書・どの議事録のどこに基づくかを示させます。根拠を示せない回答は使いません。
入れてよい情報を決める社員や取引先の情報を扱う前に、サービスの契約条件(入れた情報をAIの学習に使うか、どこに保存するか)を確かめ、ルールに書きます。
会社の契約で使う社員の個人の契約ではなく、会社が契約したサービスを使います。誰が何に使ったかを会社が把握できます。

経営判断

経営者にしか、決められないこと。

総務の見直しは、担当者の努力だけでは先に進めなくなる所があります。次の5つは、担当者の権限では決められません。

  1. 頭の中の決まりを、文書にすると決める社長の頭の中にある決まりを、文書にすると決めて伝えます。書いた決まりは、社長も守ります。
  2. 就業規則の届出の義務を確かめる常時(いつも)10人以上の労働者を使う職場(事務所や工場ごとに、パートやアルバイトも含めて数える)には、就業規則を作り、届け出る義務があります(労働基準法89条)。届け出る前に、労働者の過半数を代表する人の意見を聴き、意見書を付けます(90条)。届け出ているか、最後にいつ直したかを確かめます。
  3. 置き場所と連絡手段を1つに決める個人のパソコンや私用の連絡アプリをやめ、会社が管理する場所と手段に決めます。反対があっても決めます。
  4. 会議ごとに、決める人を決める誰が決めるかが分からない会議は、結論が出ません。会議ごとに、決める人を決めます。
  5. 残す紙と、やめるはんこを決める取引先とやりとりする紙は、無理になくしません。社内の申請のはんこをやめるかは、経営者が決めます。
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